三陸復興の森 希望

釜石地方森林組合は1985年2月8日釜石市森林組合と大槌町森林組合が合併し誕生しました。そして岩手県釜石市と岩手県上閉伊郡大槌町に広がる森林の内、2,400.87haの森林がフォレストック認定対象森林面積です。
対象の森林は、沿岸のリアス式海岸に沿った斜面地に位置する山林と内陸地に分布していて、いずれの山林も斜面勾配が急峻な地形が多くなっているため、台風など大雨の際に川の氾濫が問題となっていました。よって極力間伐を行い、大雨の際に木材が川に流れ出したり、氾濫が起こりにくくなるように森林と河川の環境を守っています。
―釜石地方森林組合力を入れている3つの取り組み―
①イヌワシの採捕適地の確保
環境省の絶滅危惧種に指定されている大型猛禽類・イヌワシの保護のため、列状に立木を残して部分皆伐(かいばつ)することで、エサを捕りやすい空間を作り出しています。林野庁などの研究によると、密生した林に覆われた山地では、イヌワシは急降下して捕食するのが難しく、管理が行き届かない森林が増えたこと(=林業の衰退)が繁殖率低下の一因と言われています。
②渓畔林(けいはんりん)の保全
河川や沢の流域では、その両サイドの木は伐採せず残します。水辺の周辺に生える広葉樹は、豊かな生態系の維持に大きな役割を果たしています。また、急激な気候変動に伴う大雨などにより河川が氾濫した場合の土砂災害の予防にもつながります。
③多様な広葉樹を残した伐採作業
建築用材やシイタケ栽培用の原木などとして利用価値のある広葉樹を活用しながら、幅広い樹種の木を残した森林づくりを進めています。落葉広葉樹が多い森林は豊かな土壌を作り、河川を通じて海に栄養分を送ります。
―三陸復興の森 希望について―
フォレストック認定取得に至ったきっかけ
東日本大震災がきっかけです。震災により町だけではなく森林もダメージを受け、復興の資金としてCO2クレジットの取引を行うことになりました。2021年11月30日よりフォレストック認定を受けています。
森林を維持することで課題と感じていることはありますか
働き手の問題が課題だと思います。人口がどんどん減っている中で、林業に携わる人達も減っています。地元の子どもたちにも森林に関心を持ってもらい、将来林業に携わりたいと思ってもらえるように、一緒に植樹や手入れなどの取り組みをしています。
読んでいただいている皆さまにメッセージ
森林のことを少し気にかけていただけたらいいなと思います。地球温暖化の問題が皆さんの足元まできているということ、そして森林は二酸化炭素を吸収し炭素として蓄えることで地球温暖化防止に貢献しているということを、少しでも思い出してもらえれば、皆さんの行動も少し変わってくるのではないかなと思います。
森林は二酸化炭素を固定することで地球温暖化を抑制するとともに、さまざまな野生動物のすみかとしての役割も果たしています。しかし、地球上の人口増加の影響で、木材の調達や農地・放牧地への転用のために大規模な伐採が進み、森林は減り続けています。
釜石地方森林地区は、地域に必要となる生業として、木材の生産に環境的な面にもフォーカスをあてながら、森林資源の活用を探っていきたいと考えています。

